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2020.12.08 シロス社がタミバロテンとアザシチジンとの併用第Ⅱ相臨床試験の新データ並びに今後の臨床試験計画を発表

2020年12月5日(米国時間)、Syros Pharmaceuticals Inc.(本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「シロス社」)が、現在実施中のレチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン/TM-411/SY-1425、以下「タミバロテン」)に関する併用第Ⅱ相臨床試験の新しいデータを第62回米国血液学会(ASH; American Society of Hematology、今回はバーチャル会議)において報告しましたのでお知らせします。タミバロテンは、当社連結子会社のテムリック株式会社(以下「テムリック」)がシロス社に導出した薬剤です。


タミバロテンは、急性骨髄性白血病(AML)の治療薬として、現在米国において第Ⅱ相臨床試験が実施されております。今回、新たに発表されたデータ(一部は、昨年の欧州血液会議(ESH; European School of Hematology)において公表済み)は、既存の標準化学療法では治療が困難な未治療AML(Unfit 未治療AML)に対してタミバロテンとアザシチジンを併用した試験の結果、および、昨年5月より新たに開始した再発/難治性AMLを対象として同併用療法の有効性・安全性を評価した試験の新しい結果です。


さらに、シロス社は12月7日(米国時間)のポスター発表において、Unfit 未治療AML患者のうち、標準療法であるベネトクラクス+アザシチジン併用療法に対して治療抵抗性を示す患者に便益がもたらされるという非臨床試験データを公表しました。


1.Unfit未治療AMLでの結果


対象となったのは、2020年10月1日時点で安全性解析可能と判断された51症例(シロス社が開発したバイオマーカーを用いたスクリーニングでRARA陽性または陰性と判定)のうち、有効性評価可能なバイオマーカーが陽性であった18症例です。


RARA陽性患者(有効性評価可能症例18例)の全奏功率割合は67% (18例中12例)、完全寛解率(CR及び血球数数の回復を伴わない完全寛解CRiを含む)は61% (18例中11例)で、CR 50% (18例中9例)の内訳は分子学的CR及び細胞学的CRの両者併せて 89% (9例中8例)でした。

最初の奏功までの期間の中央値は1.2か月、奏功期間の中央値は10.8か月、CR/CRi達成患者の全生存期間OSの中央値は18か月でした。


治験薬投与後67% (18例中12例)の患者が正常血液の輸血を必要としませんでした。このうち治験薬投与前に輸血を必要とした患者の86%(7例中6例)が治験薬投与後には輸血が不要となりました。


タミバロテンとアザシチジン併用療法の忍容性はおおむね高く、アザシチジンを併用することにより、骨髄抑制といった副作用の発現は抑えられていました。


さらに、シロス社はUnfit未治療AML患者のうちRARA陽性症例の癌細胞のほとんどは単球性フェノタイプを有することや、これらの患者は第一選択標準治療レジメンであるベネトクラクスとアザシチジン併用療法に対する治療抵抗性を有することを見出し、本学会で報告しました。これらのデータはRARAバイオマーカーがタミバロテンに奏功する患者を選別できるだけでなく、ベネトクラクスとアザシチジン併用療法に対して奏功しない患者をも選別できることを示しております。


2.再発/難治性AMLでの結果


対象となったのは、2020年10月1日時点で安全性評価可能と判断されたRARA陽性再発/難治性AML患者28症例中、有効性評価可能な21例についてです。


全奏功率は19% (21例中4例)であり、内訳はそれぞれCRc1例、CRi 2例、MLFS1例でした。全生存期間OSの中央値は5.9か月でした。


治験薬投与後30% (20例中6例)の患者が輸血を必要としませんでした。このうち治験薬投与前に輸血を必要とした患者の27%(11例中3例)が治験薬投与後には輸血が不要となりました。


本対象患者に対するタミバロテンとアザシチジン併用療法はおおむね高い忍容性を示しました。



これらの試験結果、並びに、タミバロテンとアザシチジンの優れた有効性・安全性、治療領域におけるアンメットニーズを踏まえて、シロス社は本併用療法を、RARA陽性未治療高リスクMDS(HR-MDS; higher-risk myelodysplastic syndrome; 骨髄異形成症候群)を対象とした第III相臨床試験に適用することを計画しています。HR-MDSはAMLに近い血液腫瘍であり、約30%がRARA陽性を示します。米国食品医薬品局(FDA)との相談結果に基づき、シロス社は約190例のRARA陽性未治療HR-MDS患者を用いた無作為化二重盲検試験 (タミバロテン+アザシチジン:プラセボ+アザシチジン=2:1)の実施を計画しています。本試験の主要評価項目は完全奏功率(CR率)であり、本試験結果次第では承認に向けた動きが加速される可能性もあります。シロス社は本第Ⅲ相臨床試験を2021年第一四半期に開始する予定です。


加えて、シロス社は、RARA陽性Unfit未治療AMLを対象として、タミバロテン、ベネトクラクス、アザシチジンの3剤併用療法での臨床試験を計画しています。本試験はまず3剤併用療法の安全性について確認した後、第II相臨床試験で、約80症例を対象とし、タミバロテン+ベネトクラクス+アザシチジン群とベネトクラクス+アザシチジン群が1:1になるよう無作為に割付けて有効性・安全性を評価するというものです。

本試験ではこの3剤併用療法についてベネトクラクス、アザシチジン併用療法に奏功しない患者に対する救援療法としての評価も併せて行う予定です。シロス社は本第Ⅱ相臨床試験を2021年下半期に開始する予定です。


シロス社と研究チームは、以下のようにコメントしております。


タミバロテンとアザシチジンの併用療法は標準化学療法では治療が困難なRARA陽性未治療AML患者に対して高い奏功割合、即効性、十分な奏功期間、高い忍容性を示しました。

最近の進歩にもかかわらず標準化学療法に適さないAML患者の1/3が現在のupfront標準療法に奏功しませんが、我々はそれらの患者のうちのほとんどがRARA陽性であるということを見出しました。これらのデータは、タミバロテンがRARA陽性AML患者に対するばかりでなく、高リスクMDSのようなAMLと類似する血液腫瘍に対しても重要なターゲット治療となることが期待されます。



テムリックは2015年9月に、シロス社と北米および欧州におけるタミバロテンの癌治療薬としての開発販売権に関する導出契約を締結しており、契約一時金の受領の他、開発段階に応じたマイルストン及び発売後のロイヤルティを受ける権利を得ております。


当社グループは、シロス社との連携をより強固にし、必要とされる支援を遅滞なく実施するよう務め、今後のマイルストン収益およびロイヤルティ収益の早期獲得を目指して参ります。


以上


【ご参考】

シロス社の公式発表は、シロス社のホームページをご覧ください。

https://ir.syros.com/press-releases/detail/205/syros-presents-new-data-from-phase-2-clinical-trial-of