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2012.11.27 鳥取大学大学院工学研究科への新規TRPM8遮断薬の試料提供に関するお知らせ

鳥取大学大学院工学研究科への新規TRPM8遮断薬の試料提供に関するお知らせ

当社は、この度、鳥取大学大学院工学研究科(永野真吾教授・日野智也講師)との間で、ヒトTRPM8のX線結晶構造解析を目的とした研究用試料の提供に関する契約を締結いたしました。

本契約に基づき、当社は、当社の所有する新規TRPM8遮断薬を鳥取大学大学院に提供いたします。鳥取大学大学院では、TRPM8の立体構造を解析し、その拮抗活性の作用機序の解明を行います。TRPM8に関するこのような立体構造解析はこれまで例が無く、新しい神経因性疼痛(神経の損傷や機能異常が原因で起こる痛み)に対する医薬品の開発に大きく貢献すると期待されるものです。

永野教授ならびに日野講師は、膜タンパク質のX線結晶構造解析の分野で精力的に研究を行われており、これまでに多くの成果をご報告しておられます。当社は、こうした取り組みを積極的に行うことで、当社のイオンチャネル創薬プログラムの価値向上を目指して参ります。

以上

(ご参考)

【TRPM8について】

TRPM8は、温度感受性イオンチャネルの一つで、28度以下の冷刺激あるいはメントール(ミントの成分)によって活性化されます。最近の研究から、神経損傷あるいは一部の抗がん剤によって感覚神経におけるTRPM8の発現増加と機能亢進が起こることが見出されており、神経因性疼痛治療薬の有望な標的として期待されています。

【膜タンパクのX線結晶構造解析について】

新規医薬品開発においては、標的分子の立体構造に基づく分子設計が有効であることが示されています。しかし、細胞膜に埋まった構造を持つ膜タンパク質では質の良い結晶作製が困難であり、立体構造解析の成功例はごく限られていました。日野講師らは、標的分子と特異的に結合する機能性抗体によって膜タンパク質を効率よく結晶化する技術を用い、アデノシンA2a受容体の立体構造をX線結晶構造解析により決定するなどの画期的成果を上げておられます(参考文献:Tomoya Hino et al. Nature 482, 237-240 (2012))。